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親からの住宅資金援助と税金制度
2023年6月10日直系尊属の贈与税の非課税制度とは
親や祖父母から、18歳以上の子や孫への住宅取得のための資金贈与を行う場合に、一定の要件を満たすことで、通常の贈与税の基礎控除(1年で110万円)額から、さらに一定の金額まで贈与税が非課税になるという制度があります。
それがこの直系尊属からの住宅取得等資金の贈与税の非課税制度です。
非課税の限度額は、取得しようとする(した)住宅が省エネ等住宅に該当するかどうかで異なりますが、省エネ等住宅に該当する場合は1,000万、それ以外は500万円まで非課税になります。
もし仮に、令和5年中に住宅購入用の資金の贈与を親から受けて、省エネ等住宅を購入した場合、贈与税の基礎控除額110万円に1,000万円のこの非課税限度額を加算した合計の1,110万円までが非課税となり、その額を超えた部分の額にのみ贈与税が課税されることになります。
具体的には下の速算表をご参照ください。
※贈与税額は「金額✖税率-控除額」で計算をします。
計算の例
令和5年に2,000万円の資金援助をもらって、省エネ等住宅を購入した場合
・基礎控除後の課税価格:2,000万円-(住宅資金贈与非課税額1,000万円+基礎控除額110万円)=890万円
・贈与税の額:890万円✖30%=267万円
・軽減されなかった場合の額:(2,000万円-110万円)✖45%-265万円=5,855,000円
・差額:5,855,000円-2,670,000円=3,185,000円
省エネ等住宅とは
①断熱等性能等級が4以上であること、もしくは、一次エネルギー消費量等級が4以上であること
②耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上であること、もしくは免震建築物であること
③高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること
上記①~③の基準に適合する住宅用の家屋を指します。
※住宅性能証明書などの一定の書類を贈与税の申告書に添付することが必要です
制度の留意点
この制度は、特に下記の点にご留意しておくことが重要です。
1.贈与を受けた年の翌年の3月15日までに住宅を取得し、かつ、住み始めていること
2.贈与を受ける人が、その年の1月1日時点で18歳以上であること
※年齢は贈与を受けた年の1月1日現在で判断されます
3.贈与を受けた年分の合計の所得金額が2,000万円以下であること
4.取得する住宅の床面積が、原則として50㎡以上240㎡以下であること
※贈与を受ける人の合計の所得金額が1,000万円以下の場合には40㎡以上の住宅であること
5.中古住宅の場合は新耐震基準に適合している住宅であること
※登記簿に記載されている建築日が1982(昭和57)年1月1日以降であるか、耐震基準適合証明書などの証明があればOK
6.贈与された資金が住宅購入代金等に充てられていること
※諸費用の支払いは対象外です
7.税額の有無に関係なく、申告期限までに贈与税の申告を行うこと(確定申告義務があります)